2016年9月1日から「須磨診療所」より名称が「おおはらクリニック」に変更になりました。

日本の平均寿命は女性が87歳(世界第1位)、男性が80歳(世界第6位)という長寿大国。
高齢になると疾病を抱えることも多くなるが、その中でも骨粗しょう症に関しては老化現象でいわば仕方のないことと認識していないだろうか。骨粗しょう症は女性に多く(男女比3対1)
その原因は大きく2つに分けられる。1つは腸管からのカルシウムの吸収が低下したりエストロゲンというホルモンが低下して起こる原発性骨粗しょう症。2つ目はさまざまな病気、もしくは薬剤により引き起こされる続発性骨粗しょう症。
 合併症は転倒など軽微な外力で骨折が起こることがある。骨粗しょう症により引き起こされる主な骨折(骨脆弱性骨折)は腰椎圧迫骨折、上腕骨近位端骨折(肩の付け根の骨折)、橈骨遠位端骨折(手首の骨折)、大腿骨頸部骨折、転子部骨折(股の付け根の骨折)。
特に大腿骨頸部骨折、転子部骨折を起こしたあとの生命予後(寿命)をみると、1年生存率が87%、3年生存率が75%、逆にいうと1年以内に13%、3年以内に25%の人が死を迎えることになり寿命に密接に関連している。骨粗しょう症は単なる老化現象ではなく、れっきとした疾病であり現在は無症状でも将来的に生命予後を左右させるような合併症を生じる可能性があるということを認識する必要がある。
 骨粗しょう症の診断には骨密度検査や骨折の既往歴、血液検査で骨代謝マーカーを調べる。また現在わずらっている病気や服薬内容などから総合的に判断して適切な治療を行うことが望ましい。薬物でいうとビスフォスフォネート製剤(骨吸収を強力に抑制する作用。週1回もしくは月1回起床時に服用)の登場で治療は飛躍的に進歩し、最近では規格的重度な骨粗しょう症に対して強力に骨形成を促進する注射剤も登場している。
また薬物療法のみならず適度な運動をして骨に刺激を与え骨代謝を促進させたり生活習慣の改善(禁煙や食事内容など)が骨密度の低下を防止し、骨折の予防に繋げることができる。李所長は「現在のご自身の骨の状態を把握し、早期から骨粗しょう症の予防、もしくは治療をおすすめします」と語った。